先日Amazonで購入した一冊。
清藤隆春著:『お寺でつながる多文化共生 – 在日ベトナム人の信仰と地域との関わり』。
お寺が関わる多文化共生と国際共修は、ベトナム人仏教徒の信仰や対人関係にどのような影響を与えるか?
日本の「お寺」という場所を通して、ベトナム人仏教徒が信仰の継続や地域コミュニティと繋がっていく可能性を考察する本書。
この本の研究・調査対象のひとつとして、西林寺におけるこれまでの活動、吉塚商店街における取り組みを取り上げてもらっています。
これまで「多文化共生」の観点から仏教寺院の社会活動が論じられることはほとんどなかったとのこと。移民時代に一石を投じ、著書の清藤隆春さんはオーストラリア、アイルランド、リトアニア各国で、調査・研究をもとに学会にて発表し続けています。
『(一部抜粋)福岡市の地域仏教寺院の西林寺を本研究の候補地とした・・・当寺院は、留学生の商店街シャッターアートを企画したり、寺院への外国人の参拝機会を作るなど、外国人仏教徒の信仰継続を目的とした活動や、外国人と地域住民の交流機会を継続的に行ってきたが、この継続的な活動がベースにあったからこそ、地域住民からの信頼を生み、吉塚商店街とともに「リトルアジアマーケッと」という国際共修のプロジェクトが生まれて、外国人同士、そして外国人と日本人との関係性が創出され始めるに至ったと考えられる。』
『住職の、長年にわたって構築された地域住民との関係性と厚い信頼を基礎に、御堂の運営委員会を立ち上げ、利益追求だけではないという信念が伝わって、住職の協力要請に対する受容が生まれている。住職の誰に対しても寄り添う姿勢も相まって、プロジェクト反対派や外国人差別をする人の意識の変化が生じている。』
『(在日ベトナム人は)日本独自の文化に馴染めずに職場での人間関係に苦労していたが、地域仏教寺院を通じて生まれた日本人参拝者との交流で日本人の友人を得たことにより、日本人に対するイメージの変容に影響を受けていた。』
地域仏教寺院が地域の国際共修に関わることで、地域の外国人と日本人との関係性構築に対して潤滑油とも言うべき役割を果たすとともに、外国人の心理的安定につながる役割を果たす可能性があると言える。』
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…なんだか恥ずかしくも有り難い記述がたくさんなされていて、かなり照れ臭さはありますが、日本における多文化共生の記録にその一例として残していただけたことは本当に光栄です。
お寺は老若男女、年齢も国籍も超えて繋がれる場所。
これからもそんな地域に開かれたお寺であり続けたいし、吉塚の地においての多文化共生に微力ながら関わっていけたらと思う。