浄土真宗本願寺派 松光山 西林寺

多文化共生の難しさ。

(備忘録として。長文なのでスルーを)
2025年11月4日(火)、夜8時半にピンポンが鳴る。出てみると、酔っ払いのFさん。

『住職に会いたかった!』と。
昨日も夜会いに来たそうだが不在にしていたので会えなかった。

『夜にどうしたんですか?』
『住職の顔を見たかったとよー。会いたかった。』

ずいぶん酔ってる感じ。
でも久しぶりだったし、僕も嬉しかったので話に付き合うことにした。

『最近お酒の方はどうですか?』
『いつも飲みよる。』

…そういえばFさんに聞いてみたいことがあった。

『Fさん、まだ外国人に向かって怒鳴ったりしてるんですか?』
『ごめん住職、ワシは右寄りやけん、酔ったら言ってしまうと。』

『もしかして、こないだアジアンプラザで勉強してる子ども達に「外国人は帰れ!」って怒鳴りませんでした?』

『…あ、怒鳴った。(笑)』

『絶対ダメ。子ども達は関係ないでしょ。言われたことは一生の心の傷になるんですよ。Fさんだって嫌でしょ?この酔っ払いが!吉塚から出ていけ!!って毎日言われたら。』

一瞬目がギラッとなる。

『住職なぁ!ワシは右寄りやけん!ココは島国。武士道の世界では・・・』

『いや、武士道は関係ない。
Fさんは剣道二段。二段ぐらいじゃ武士道は語れない。それよりも、子ども達にそういう言葉を吐き捨てるのは絶対良くない。約束して欲しい。お願い。もうそんなことを言わないで欲しい。ね、🙏お願い・・・』

Fさんの誰からも構ってもらえない寂しい気持ちも理解しつつ、こちらの切実な訴えとして汲み取ってもらえたのか、『・・・わかったわかった。』と。

Fさんはお酒が入ってなければ優しい人。
昔はピアニストとして活躍していたが脳梗塞を患い、引退。ピアノをまた弾きたい、、と、昨日も涙ぐんでいた。

5年前、たまたま酒に酔ってミャンマー僧に暴言を発していたところを注意し、そこから2時間、彼の話を聞いたところから距離が縮まった。ふたりでお酒を飲んだこともあった。

そんなFさんが今年の吉塚御堂での法要に珍しく一緒に出席し、真剣な眼差しで仏さまの話を聞いてくれた。

あんなに外国人に対しヘイトしていたFさんが、『おまえさん達(外国人)は偉い。本当に関心。これからワシらもお世話にならないかん。いつもありがとうな!』と回転焼き饅頭をみんなにふるまっているところ見た。

こそれこそが外国人を理解していく多文化共生の姿だと思い、心底感動したが・・・お酒が入るとまた元に戻ってしまう。。。

…本当に難しいですね。

Fさんのような人を無視することは簡単。でもやっぱり、話しをし続けていくことが大事。

「多文化共生」は綺麗ごとじゃない。特に年配者の理解を得るのは至難の業。そんな簡単なものじゃないことをこの5年間で嫌というほど味わった。

でも、それでも言い続けることが大事。

それも専門家の方の訴えではなく、地元の人間が言い続ける事に大きな意義がある。

昨日は色んなことを考えさせられた。

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