『老いぬれば心のどかにあり得むと思ひたりけり誤りなりき』
「去年の雪」/窪田空穂(歌人)
2016年12月9日(金)、
今日は私の祖母であり西林寺前坊守の三十三回忌法要でした。
お浄土へかえってから32年目の法要です。
私が小学2年生の時でした。本当に時が経つのは早いものですー
前坊守の法名は『西香院釈柊青(しゅうしょう)』。
この『柊青(しゅうしょう)』という難しい読み方と漢字が
私は昔からずっと気になっていました。
聞けば、祖母は俳句が趣味だったようで、『柊青』というのは俳号、
つまり、俳句を作る際に用いる雅号・愛称だったものを、
そのまま法名としていただいたのだそうですー
ちなみに、『柊(ひいらぎ)』の葉っぱは、ノコギリの歯のようなギザギザの葉っぱ。
葉の縁の刺に触るとヒリヒリと痛むことから、
「ヒリヒリと痛む」旨を表す日本語の古語動詞(働き言端)である
「疼(ひひら)く・疼(ひいら)ぐ」の連用形・
「疼(ひひら)き・疼(ひいら)ぎ」をもって名詞(なことば)となったそうです。
この葉っぱは、初夏の新緑の頃には、
小さな赤ちゃんの手のように柔らかい黄緑色の葉が生まれるのですが、
それも秋になると、すぐに硬く鋭いトゲを持つようになります。
…それは素手で触れば怪我をしてしまうほど。
そんな柊は、樹齢100年以下であれば沢山のトゲがあるわけですが、
これが樹齢100~150年の柊になると、トゲが次第になくなってゆくのだそうです。
…そして200年以上の柊にはトゲが全くなくなり、円い葉っぱになるのだそう。
祖母が往生した際、武内洞達先生からいただいたお手紙。
「柊青」(シュウショウ)の意味を、
先生自ら100年以上の柊の葉を集めて解説して下さっています。
…青い間はトゲだらけであるけれど、100年、200年と成るにしたがって、
トゲは次第になくなり円くなる。…これは私たち人間も同じである、と。
生きている間は煩悩のトゲだらけ。
特に若い時は角があったりギスギスするものですが、
社会の荒波に揉まれていくと、やがては角がとれて円みをおびていく。
そして、やがてはこの世のいのち尽きて、お浄土へ還った後には、、
煩悩のトゲも完全になくなり、円みをおびた円満の仏と成る、とー
そんな意味が、この祖母の俳号と法名に込められていたそうです。
今日は久々に祖母を偲ばせていただきながら、
お浄土にいる祖母からありがたい仏法をきかせていただきましたー