2025年7月13日(日)は、西林寺婦人会定例会。
本日のご講師は、田川市 東迎寺の副住職 清藤隆春師をお迎えしました。
清藤先生は北九州市立大学 国際交流センター専任講師であり、ロンドン大学で社会人類学修士を、九州大学で学術博士をとられた異色の僧侶。
【吉塚市場リトルアジアマーケット】の立ち上げの頃から研究・調査の対象として商店街にあしげく通って下さり、これまでの研究・調査に基づく論文をまとめた一冊、『お寺でつながる多文化共生 – 在日ベトナム人の信仰と地域の関わり』を発表。
日本の「お寺」という場所を通して、ベトナム人仏教徒が信仰の継続や地域コミュニティと繋がっていく可能性を考察する本書。
この本の中で、西林寺におけるこれまでの活動、吉塚商店街における取り組みを取り上げて、分析していただいてます。
今回はこの本の中から、私たちの街で一緒に暮らしているベトナム人の「信仰」にフォーカスし、彼ら彼女らの背景や、日本で暮らす大変さ、その中でも「信仰を継続していくことの大変さ」の話を伺うとともに、今後一緒に共生していく中で「同じ仏教ととして、何ができるか?」を考える良いご縁になりました。
お寺に関わる人たちとの交流によってー
あるベトナム人仏教徒は、日本の文化に馴染めず、職場での人間関係に苦労し、この環境から逃げ出すことも考えたそうです。
しかし、故郷の家族には心配をかけたくないので、つらい思いを打ち明けることもできず、逃げ出すこともできなかった。
ベトナムにいた時は、つらい時、寂しい時はお寺へ行っていた。しかし日本では(日本の地方には)ベトナムのお寺がない。そんな時は目を瞑って、心の中で仏さまのことを思っていたそう。
そんな時、西林寺へお参りする機会やお寺の行事に参加する機会があり、そこでは西林寺に集うご門徒の方、地域の方、お墓参りの方との交流があり、自分が待ち望んでいた日本の友人ができたこと、そして日本文化を知る機会に恵まれて、日本人に対するイメージまで変わっていったという事例があったことを紹介して下さいました。
お寺が地域の共生に関わることで、地域の外国人と日本人との関係を円滑にする潤滑油になっているとのこと。そして外国人のこころの安定につながる役割を果たしていることが、調査・研究によってみられたとのことでした。お寺でご門徒さんと外国人が交わるきっかけをつくっているのは日本では稀な例とのこと。
今後も、彼ら彼女らとの相互扶助の中で、どんなことができるのか考えていきたい。
それが結果、お寺の活性化、地域の活性化へとつながっていけたらと思っています。