日記帳

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百聞は一見に如かず。

2018年10月22日(月)、明日はご本山にて会議。
今日は久々に京都へ前乗りし、行きたかった場所へー

臨済宗大徳寺派大本山、大徳寺内にある真珠庵。
寺宝である長谷川等伯の方丈障壁画が修復に入ったことを機に、400年ぶりに襖絵を新調

新襖絵を手がけたのは、
「新世紀エヴァンゲリオン」の映画監督 山賀博之、
「ファイナルファンタジー」を手掛けたゲームクリエイター 上国料勇、
「オトナの一休さん」のイラストレーター 伊野孝行、
漫画「釣りバカ日誌」の北見けんいちなど、第一線級で活躍するトップクリエイター。

マイク片手に熱唱する一休さん。(イラストレーター 伊野孝行作)

現代作家が描く襖絵は、それまでの既成概念を大きく超えるような作品ばかり。

拝観後、出入り口にいらっしゃったご住職に、思い切って話しかけてみました。

『ご住職にひとつ質問させてください。伝統的世界の中で、
革新的な現代のトップクリエイターを襖絵に起用されたご住職の意図とは何ですか?』

…すると、ニッコリ笑いながら、優しくお応えしてくださいましたー

日本では後になってその価値が評価される

『かつて若かれし頃の長谷川等伯は、
狩野派の牙城だったこの大徳寺で、襖絵を描きたいと
何度も足を運んでは門前払いされていた。

ある時、大徳寺の当時の和尚が不在だった時、
お寺に上がり込んで勝手に襖絵を描いてしまった。
それを帰ってきて見た和尚は、「これは面白い」と。

…そんな長谷川等伯の襖絵は、
400年の月日を経て価値あるものとして評価されている。
それは当時の和尚の「面白い」という心意気と見る眼。

日本ではアニメ、漫画、ゲームは、
サブカルチャー的なものとして受け止められているが、
世界ではクールジャパンのまさに「クール」。

かつて浮世絵だって日本よりも先に価値が評価されたのは海外で、
たくさんの日本の名画が海を渡っていった。

そんな浮世絵が、今では日本に里帰りして展覧会を行うと大盛況している。

日本では後になってその価値が評価される。それは漫画やアニメ、ゲームもしかり。

私は、時代を映す、その時代を反映した襖絵を描いてもらおうと思った。

日本の襖絵は世界でも稀な存在で、二方、三方で世界観を表現できる。
しかも取り外しが可能で、大きな世界観を表現することができる。

そんな中、昨今では300年、400年と同じ絵画がその部屋をずっと独占している。
これは違うんじゃないかと。

その時代時代を映す鏡となる襖絵を描いていただきたいと思いましたね。

作家の皆さんには有り難いことに、このお寺で何ヶ月もかけて描いてくださった。

この作品が300年400年と時が経った時、その価値が改めて評価されているかもしれない。

その時初めて、作家さん方の心意気と恩に報いることができるんじゃないかとー 』

…ご住職の貴重なお話を直に伺いながら、CNLやカンボジアでの活動、
ご本山で現在進める「こども・若者ご縁づくり」のプロジェクトも同じでないかなぁ、と。

伝統的世界の中で、道無き道をつくるのは容易ではないし、
時に厳しいご意見をいただくこともあるかもしれない。

でもそこに確固たる信念と覚悟を持って続けていけば、
やがて何年、何十年と時間が経った時、価値あるものとして評価されていくー

…色んなことを考えさせられました。

今回大徳寺さんへ足を運んでみて思ったのは、

まさに、百聞は一見に如かず

生の情報を、実際に自分の足で行って、目で確かめ、感じることは改めて大切だなと。
行って、見て、直に話を伺って、、本当に有意義な時間だった。