日記帳

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西林寺婦人会例会 – 多文化共生について

2021年4月13日(火)、毎月13日は婦人会定例会の日。

西林寺では、一年を通じて毎月13日に多様なご講師においでいただき、ご法話をいただいています。

4月は、二日前(4月11日)に『西林寺はなまつり』にて舟川先生よりご法話をいただいたばかりでしたので、今回の例会では少し法座を離れて「今、地元吉塚にとってタイムリーな事」について話を伺います。

昨年12月1日、地元「吉塚商店街」が外国人居住者との「共生と共修」を目指す【吉塚市場リトルアジアマーケット】に生まれ変わりました。

先月3月13日にはミャンマーよりお釈迦さまをお迎えして「開眼法要」も行われ、今まさにこれから吉塚市場では外国人との「共生」を目指そうとしていますー

そのような中で、私たちの街では今、身の回りにどれだけの外国人が住んでいて、どんな国から来て、どんな生活を日本でおくっているのか?
彼らとの「多文化共生について」学びの機会をつくりたいと、愛和外語学院 教務長の深江新太郎先生にお話を伺いました。

『外国から来た人たちと共に成り立つ社会』について

ご講師は、東区馬出にある【愛和外語学院】教務長 深江新太郎先生。

日本、福岡市、博多区には、どれくらい外国籍の人が暮らしているか?

先生は冒頭、大変興味深い話をしてくださいました。

福岡市の資料によれば、2020年3月時、

【 日 本 】ではー
① 全人口が約1億2714万人。
② それに対し在留外国人数 約286万人。
③ 外国人比率 約2.3%。
日本全体で見ると、実に43人に1人が外国籍の方です。

では、【 福岡市 】でみるとー
① 福岡市人口 約155万6千人。
② 在留外国人数 約3万9千人。
③ 外国人比率 約2.5%。
全国平均よりもやや高く、40人に1人が外国籍の方です。

そして、【 博多区 】でみるとー
① 福岡市博多区 人口約23万4千人。
② 在留外国人数 約1万人
③ 外国人比率 約4.3%
日本全体、あるいは福岡市の外国人比率よりもグンと高く、23人に1人が外国籍の方ということになります。

つまり、我が街吉塚周辺(博多区・東区)は日本の自治体の中でも外国人が多く暮らしている地域で、
しかもこの街周辺には計4校の外国人のための日本語専門学校があり、約900人の外国人留学生が通っています。

ちなみに、「福岡県」在住の外国人で多いのは、技能実習生
「福岡市」在住の外国人で多いのは留学生で、とりわけ日本語学校の学生が増加傾向にあるそうです。

「技能実習生」は何をしているか?

福岡県内の様々な地域の技能実習生で特に多いのは、建設業、製造業、農業、漁業など、いまやあらゆる職種において日本の産業を下支えしている、それが「外国人技能実習生」だそうです。ちなみに国籍は、ベトナム、インドネシア、フィリピン、中国、など。

一方、日本語学校に通う留学生達はどんな暮らしをしているかというと、皆将来の目標のために、アルバイトをしながら勉強をしていて、しかも彼らはアルバイトで稼いだお金の一部は母国へ仕送りをしながら、かつ学校の授業費・生活費を稼ぐためにアルバイトをしている、、。

最近、日本でいえばいわゆる昔の「苦学生」として頑張っている学生が多いとのこと。国籍は、ベトナム、ネパール、中国、ミャンマー、など。

そのような現状の中で、多文化共生を今後どう考えていくか?
深江先生は、以下のようなことを問題提起されましたー

多文化共生をどう考えるか?

私たち日本人は、外国から来た方に対して、最低限の生活が送れればそれでいいのではないか、と考えてしまってはいないでしょうか?

外国から来た方も、日本人も、「幸せに暮らしたい」という思いは同じです。

日本人がひとりの人間として幸せに暮らしたいと願うように、外国から来た方もまた、ひとりの人間として、この日本において幸せに暮らしたいと願う。
「幸せに暮らしたい」という気持ちに国籍の差がないなら、国籍の区別なく、だれもが幸せに暮らせる社会が多文化共生社会ではないでしょうか?とー

今まさにコロナ禍において、その視点というのは大事な事だと思いました。
私たちは今、この未曾有の疫病に対して、自分自身のこと、家族のこと、仕事のこと、、守らなければならない身の回りのことで精一杯な状況です。

ですが今、このような状況だからこそ、昔から日本人が持っている『自他一如』の心、
「持ちつ、持たれつ」や、「困った時はお互い様」の気持ちを他者に向ける事が大事なのではないでしょうか。

そしてそれは、「日本人同士の助け合い」ではなく、「日本に住む者同士の助け合い」として、外国人の方に対して目を向けていく事も大事だと思います。

彼らは日本の事が大好きで、母国で日本語を学び、念願かなって日本へこられた方がとても多いです。
しかしながら、日本での実情はとても厳しく、生活もギリギリのところで同郷の仲間と助け合って暮らしていることが非常に多い。
母国にも帰れず、不安な中で暮らしている外国人へも、暖かい眼差しで接してあげる事はとても大事な事だと思います。

そして、それを具現化し、これから実践的として取り組んでいこうとしているのが【吉塚市場リトルアジアマーケット】だと思います。

婦人会の皆さんの中には、地域でご活躍の方も非常に多いです。
今日はそんな皆さんと一緒に、これからの「多文化共生」について考える良い時間となりました。

西林寺では、こうした地域の取り組みと連動した実践活動も行い、学びを深め、共有する中で私たちに今、何ができるのか?を考えるご縁づくりも行っていきたいと思います。