2022年5月26日(木)、
実に3年ぶりに桂塩鯛師匠をお迎えして、4年ぶりとなる『西林寺落語会』でした。
落語家:桂 塩鯛(かつら しおだい)
大名跡 四代目『塩鯛』を襲名。京都府京都市生まれ。所属事務所は米朝事務所。
上方落語協会理事。2代目桂ざこば一門の筆頭弟子。前名は桂都丸。
京都出身であることと、ざこばの当時の名である朝丸からと名付けられた。出囃子は「鯛や鯛」。
落語のルーツは「お説教」にアリ。
実は落語の原点は,お寺のお説教にあるといわれています。
「落語の祖」とも言われる安楽庵 策伝(あんらくあん さくでん)[1554-1642]は、安土桃山時代、豊臣秀吉の御伽衆(おとぎしゅう)で、浄土宗の説教師でした。
ちなみに御伽衆とは、大名の側で教養や娯楽などの話し相手をする役割の人。多くは学者や僧侶がなったそうです。
安楽庵策伝はお説教の達人であり、字の読めない人たちにもほとけさまのお話をわかりやすく教えるため、話の最後に「落ち」を用いました。
その「お説教」の極意が、「初めしんみり、中おかしく、しまい尊く言い習わし」というもの。
静かに語りだし、途中、聴衆が退屈しないよう面白い話を入れ、最後には尊い「仏さまの教え」で終わる。
この「中おかしく」の部分を発展させていったものが現在の「落語」なのだそうです。
お話の展開、声の抑揚や緩急の付け方、間の取り方等、そんな視点でお話を聞かせていただくと、師匠がすごさがよくわかります。
後半は、桂文枝師匠の創作落語『ワニ』を披露。動物園の飼育係がワニを助ける人情噺。
最後の終わり方がとっても心に残るお噺でした。
以前、師匠に『ひとつのネタをお客様の前に出すまでどれくらい稽古されるんですか?』と質問したことがありました。
すると師匠、『 落語の新しいネタをお客さんの前に出すまで大体2〜3ヶ月の稽古が必要ですね。
しかし実際に自分のものになる、腹に落とすまではそこからさらに場数が必要。
でも一度腹に落とせたなら、稽古はし過ぎない方がいい。
稽古しすぎると機械的な噺になってしまい、噺の「熱」が伝わりづらくなる。
噺の内容が腹にストンと落ちてしまえば、柱はしっかりしているから、
多少内容が前後したり、たとえ間違えても、臨機応変さがかえって噺を面白くする。
噺の内容が自分の腹にストンと落とすことが大事ですね。』と。
私は「噺」=「ご法義」といただきました。
日々のおつとめであれ、仏さまのお話であれ、やはり日々の積み重ねが大事だという事ががよくわかりました。
師匠の楽しい落語を聞きながら、その場を楽しむと同時に身が引き締まる気分にもなります。
自分なりのプロ意識をもう一度確認しながら、また明日からの日々の法務に取り組んでいきたいと思いました。