2024年9月14日(土)、吉塚市場リトルアジアマーケットにおいて【 吉塚ダイアローグ2 】を開催しました。
久しぶりに吉塚市場にトゥクトゥクも登場!
『ダイアローグ』とはー
「ダイアローグ」とは対話を意味し、相手の考えを尊重しながら、相互理解と共通理解を見いだすこと。
『多文化共生のまちづくり』を単に言葉だけではなく、行動で示す活動として『吉塚リトルアジアサポーターズクラブ』を立ち上げ、今回が第2回目の開催となりました。
今回のテーマは『防災について』。
九州大学大学院 人間環境学研究員 准教授の杉山高志先生や、同じく院生で防災を研究する中国人 梁さんにもアドバイザーとして参画していただき、サポーターズクラブみんなで準備を進めてきました。
当日は商店街の関係者、地域の方、西林寺の門徒、在住外国人に加え、防災が専門の京都大学の先生、福岡県立大学の学生、熊本から高校生も参加(!)みんなで地域における防災について考えるとても有意義な時間となりました。
スピーカートーク①
はじめに『スピーカートーク』として3人の方がご登壇。
福岡市消防団 吉塚分団長の山口さんは、この地域に潜む災害リスクについてのお話。
商店街 防災委員長の東村さんは、現在の吉塚商店街における防災の取り組みについて。
防災委員会を立ち上げたお話をいただきました。
それに付随し、九州大学 大学院生の梁さんからは現在制作している吉塚商店街・防災マップについての紹介。
グループ・ダイアローグ
スピーカートークを終えた後は、「グループ・ダイアローグ」。
みんなで対話の時間です。
テーマは、『 私の防災に対する意識について 』。
先ほどの登壇者の話を受けて、各々現在の防災意識について思うことを話していただきます。
ここでわかったこと、
一概に『防災』といっても、それぞれ国や地域によってこれまで注意してきた災害のジャンルが異なるということがわかりました。
例えば、ミャンマーでは『地震』はなく、日頃気を付けていたのは『水害』だと、パインさん。
マレーシアでも同じく『水害』が多いそうで、日頃からもし水害に遭った時、どこで家族と落ち合うか?日頃から家族で約束事を決めているそうです。
また、ネパールでは2015年にあったカトマンズ巨大地震以降、防災意識が芽生えはじめたそうですが、日本に比べるとまだまだ防災意識は低いとのこと。
スピーカートーク後半
以上の、前半の話を経て、引き続き3人の登壇者にそれぞれお話しいただきます。
九州大学の杉山先生からは、前半の総括と地域防災組織の事例紹介。
お話しの中で先生は『防災』というテーマにおいても、大切なキーワードは『多様性』だと仰られました。
今後誰にでも起こりうる災害時に、情報弱者になりうるのは高齢者や外国人などであるということ。その時どう情報を共有し、支え合っていくか?大切な視点を話してくださいました。
次に、吉塚で元町内会長を務められた秋元さんは、実際に町内で取り組んだ防災事例についてご紹介。
災害時に大切なのは『自助、共助、公助』だと秋元さん。
背後の壁にはプロジェクターで梁さんがわかりやすく秋元さんの言葉や資料を提示。
秋元さんのお話しがとても色鮮やかに、わかりやすく引き立っていました。
そして最後に、再び梁さん。外国人目線でみた日本における災害と防災についてのおはなし。
日本で暮らす外国人には、災害時3つの壁があることを話してくれました。
① 言葉の壁、
② 文化の壁、
③ 制度の壁。
言葉や文化の違いによる壁に加えて、避難所がどこにあるのか?どう利用していいのかわからないという制度の壁もある、とのこと。実際に日本で被災した場合、外国人にはわからないことがたくさんあるそうです。
グループ・ダイアローグ②
上記の話を聞いた上で、最後のグループ・ダイアローグ。
トークのテーマは『災害時、情報弱者になる恐れのある高齢者や外国人へどう情報を共有するか?』、そして『外国人とどう連携をはかるか?』。
外国人の皆さんも積極的に思いや考えを皆さんに伝えていました。
終わったあとは、各グループであがった話題について共有タイム。
言葉の壁を持つ外国人にとっては、言語を正しく伝えようとするよりも、ジェスチャーやその表情で今起こっていることを伝えて欲しいとのこと。災害に直面した時、大事になる視点を教えていただいた。
終了後は、防火消火栓ツアー。
いよいよダイアローグも終盤。
最後は、2グループに分かれて、吉塚市場内の消火栓や警報ブザーがどこにあるのか?
防災専門家の先生方や、消防団の皆さんと共に、街中に潜む災害リスクを解説してもらいながら散策。
非常ボタンや消火栓がどこに置いてあるか?
とても良い勉強になりました。
消火栓ツアーから戻ってくると、今度は各グループに分かれ、防災マップを開きながら、この街に潜む災害リスクについて共有しました。
国籍も年代も超えて、みんなで防災について考える一日。とても中身の濃い、充実したものになりました。
京都大学の中野先生からは、『全国で防災に対する様々な取り組みが行われているが、実際に在住外国人と一緒に対話をしながら防災について考える取り組みは聞いたことがない。この前衛的な取り組みはぜひ今後も継続して欲しい』と有り難いエールをいただきました。
ネパール人のシバさんは、『ダイアローグでとても良い視点を学んだ。今日の学びをぜひ母国に持ち帰りたい』と、嬉しい言葉をいただきました。
最後のごあいさつ。
終了後、『防災食』で交流会。
終了後は1時間だけ、ささやかな交流会も開催。
お酒のつまみには、『34M』と書かれた缶詰。
実はこの缶詰、南海トラフ地震で国内最大級34メートルの津波被害が想定される高知県黒潮町で開発された缶詰。
34メートルの想定津波を逆手にとって「34M 」とブランド化。新たな地域産業おこしとなっているそう。
南海トラフ地震で被災地となることを想定し、すべての製品を被災者が食べられるよう食物アレルギーの原因となる物質を使わないようにするなど、こだわり抜かれている。
そんな缶詰をお酒のつまみ、会話のネタとして交流会を行いました。これぞ防災交流会(笑)。
さらには、九州大学が開発した昆虫食『カイコクッキー』も登場!
九州大学で100年続く「カイコ」研究を応用し、制作されたクッキー。
お酒のつまみ、タンパク源摂取にみなさん喜んでいただきました。
おそるおそる食べてみましたが、言われなければ本当にフツーの美味しいクッキー。
これでタンパク源も取れて一石二鳥です。
あたたかく、楽しい時間を過ごさせてもらいました。
今回のダイアローグの企画・開催に至るまで本当に山あり谷あり、、これが最後になるかもれないなぁ、、と思っていましたが、ダイアローグを終えてみて、やはり「継続」することの大切さを改めて感じました。
今後も『ゆるやかな共生』を目指して、無理をしない程度に、自分ができる範囲で、継続して行いたいと思います。
今回の企画にご協力して下さった皆さん、参加して下さった皆さん全ての方に感謝します。
本当にありがとうございました。