先日、【松下美紀照明設計事務所】さんと納骨堂の屋根に登って最後の照明調整。
叢林(そうりん)が輝き始めました。これから夜の法座や諸行事がある際は、光りでご案内。
現在は試験的に毎日日暮れから夜10:00まで照らしています。【松下美紀照明設計事務所】さんには5年前からお世話になっており、
本堂の照明、境内、鐘楼、山門、そして納骨堂、、。なかなか一気にはできませんが、5カ年計画でようやく形ができてきました。すべては、若い人をはじめ幅広い世代の方々が、
夜の法座や行事を” 楽しみに ” お越しいただくための仕掛けづくりー照明に興味を持ったのは、拙寺で7年前から続けているカンボジアのチャリティーイベントでした。
開催を始めた当時、本堂の照明は普通の蛍光灯でごくごく普通の本堂照明でした。
その本堂をキャンドルナイトで演出する際に友人が、
「欄間(らんま)や山号額に下からスポットをあててもいいか?」
「金灯籠(かなどうろう)に光りを入れてもいいか?」
というのです。
今まで思いついたこともありませんでしたが、
実際に欄間や山号額(「松光山」と書かれた額)、金灯籠を照らしてみると、、
[2008年当時]
・・・電気を消し、照明をいつもと違う場所に当てただけなのに、
それはそれは、、今まで見慣れた本堂とは雰囲気が一変したのです。
今まで恥ずかしながら、欄間などは「本堂の風景の一部」として捉えていた所にスポットが当たり、
それによって彫刻の「獅子」や「牡丹」が活き活きと、ダイナミックに輝きを放ち始めたのでした。
・・・たった照明を当てただけなのに、こんなにも雰囲気が一変するのかと、、。
それならせっかくのいい発見だったので照明を「常設」で取り付けようと、
松下照明設計さんにご依頼し、5年かけて今の形が出来上がってきました。
母であり坊守(ぼうもり)がポツリ、
『・・・今まで欄間だけをまじまじと見上げることなんてなかったね、、』
光の色や当て方によって、ガラリと空間を一変させることができる、、浄土真宗のお寺の本堂は、「お浄土」の世界観を表したものです。
その世界観を表すのに、これまでは金箔を貼りかえたり、彩色をほどこしたり、、
これまでお寺の「内陣」の修復・改修にはたいへんなお金が掛かかっていました。
・・・そこから考えると、その修復費の数分の一、
あるいは数十分の一で本堂に劇的な「変化」を与えることができる。
それは単に本堂のひかりを、「蛍光灯」から「電球色」にかえるだけでも
ずいぶんと雰囲気が変わることがわかりました。
「ひかり」によって、阿弥陀さまのお浄土の世界観を、もっと美しく、もっと感動的にーこれからも、みなさんが気持ちよくお寺へお参りに来て頂く「環境づくり」を
少しずつですが進めていきたいと思っています。